今回は、薄板に対する締結の課題とその対策製品をご紹介します。
薄板化の潮流
近年、材料費の削減や利便性の向上という観点から、ものづくりのトレンドとして小型化・軽量化が求められるようになりました。これに伴い、材料の薄板化も進んでいます。薄板化は小型化・軽量化には有効な手段である一方、その締結に関しては課題が生じる可能性もあります。
薄板締結の際に発生しうる課題
(1)座金組込みねじで薄板を締結する場合
通常の座金組込みねじでは不完全ねじ部が長く、完全な締結ができないことがあります。これは、座金組込みねじのつくり方に起因します。
【座金組込みねじのつくり方】
下図のように座金を組み込んでから、ねじ部を転造することで、座金の内径よりもねじの外径が太くなり、座金が抜け落ちない形状が完成します。
座金組込みねじは座金をはめたあと、ねじを転造するため、通常の小ねじに比べて不完全ねじ部が長くなってしまいます。不完全ねじ部が長いと、被締結物の板厚が十分な場合(下図左)には問題ないですが薄い場合(下図中央)にねじが締まりきらない可能性があります。そこで、薄板用座金組込ねじを使用することで薄板でもしっかり締結することができます(下図右)。
(2)タッピングで薄板を締結する場合
以下の①②などの理由から空転が起こる可能性があります。
- ①板厚が薄く、タッピングのねじ山と被締結材の引っ掛かりが少なくなる。
- ②板厚が薄いため、下穴が破壊されやすい。
これらの課題の解決のための施策としてバーリング加工が一般的です。しかし、部品製造の際に手間がかかってしまうという別の課題が発生します。
製品紹介
(1)薄板用座金組込みねじ
薄板を座金組込みねじで締結する際に効果的な製品です。薄板締結の際に発生しうる課題(1)で紹介したような課題に対し、不完全ねじ部までを極限まで短くし通常の座金組込みねじより薄い板への締結を実現します。
詳しくは製品ページをご覧ください。
薄板用座金組込みねじページ:https://yht.co.jp/products/usuitazaganekumikomi/
(2)ユニファスト
薄板(0.2~0.8㎜)をタッピングで締結する際に効果的な製品です。薄板締結の際に発生しうる課題(2)で紹介したような課題に対し、特殊なねじ構造でバーリング加工を不要にし、部品の共通化と安定した締結を実現します。
詳しくは製品ページをご覧ください。
ユニファストページ:https://yht.co.jp/products/unifast/
八幡ねじによるサポート
弊社ではお客様にとって最適な締結方法を選択いただけるよう、以下のようなサポートをさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
(1)実際の相手材・被締結材を使った締結検証
トルクアナライザーで、最適な下穴系・締付トルクの検証・データ提供が可能です。
(2)オリジナル形状の提案、製造
お客様のご要望に合わせ、頭部形状や組込み部品のカスタマイズが可能です。
お気軽にお問い合わせください。