造作ビスは木材を締結する際に使用されるねじです。これらは建築現場ではもちろん、DIYでもよく使用されます。適切な製品を選んで締結することで作業がしやすくなり、完成品のでき栄えも格段にUPすることがあります。今回は代表的な造作ビスについて紹介いたします。
造作ビスの種類
造作ビスとは木材同士の締結に使用されるねじのことを言います。もともと日本では木材の締結は釘を使用することが一般的でしたが、海外で使用されていたコーススレッドが日本に伝わり、使用されるようになりました。その後、電動工具の普及に伴い広く使われるようになり、現在では様々な種類の造作ビスが存在します。機能・用途・使用する木材の硬さ・色などを条件に製品を選びます。尚、ここで紹介するのは造作ビスのうち、ほんの一部の商品です。
コーススレッド(木用ねじ)
最もスタンダードな造作ビスで様々な場所に使用されます。スリムねじなどと比べると木割れが発生しやすいため、下穴をあける方が好ましいです。電動ドライバーを使用した施工が可能で、作業性に優れています。
スリムねじ
コーススレッドよりも細い造作ビスです。先端が鋭いVカットになっており、木割れを防ぐため、細い木や割れやすい木に最適です。下穴なしに電動ドライバーを使用した施工が可能です。
ミニビス
スリムビスより更に細い造作ビスで下穴なしでの施工が可能です。ドア・額縁・戸当たり・パネル張り・床張り・細材締結などに使用します。
径の比較
木割れ解消ビス
特殊な先端形状で木材の割れを防止できます。下穴なしで施工が可能で、木材の端部への打ち込みに適しています。
一般的な木用ねじとの比較
マルチカットビス
食いつきが良く、鋸刃で施工スピードUPを実現し、下穴なしでも施工が可能です。打込む際に抵抗が少ないため、電動工具のバッテリー負荷を軽減します。
特殊ギザギザ加工
特殊加工部分が木材の繊維を破壊することで、今までにない打ちやすさを実現しています。
造作ビスの形状
前項で紹介した製品の中でもそれぞれに形状の異なるものがあります。ここでは、造作ビスの形状の違いについて紹介します。
全ねじと半ねじ
造作ビスには全ねじ(ビス全体にねじが切ってあるもの)と半ねじ(ビスの先端から途中までねじが切ってあるもの)があります。それぞれ特徴が異なるため、何を重視するかによって選ぶものが変わります。
全ねじ
全体にねじが切ってあるため、上下両方の木材にねじが効く反面、木材同士に隙間が生じ易い性質があります。隙間発生のメカニズムは以下の通りです。
①ねじが上側の木材を貫通した後、下側の木材にさしかかった時に木材に食付くまでにタイムラグが生じる。
②食付きまでのタイムラグの間に上側の木材に掛かったねじは回転しているため上側の木材が浮き上がる。
これを解消するためには、木材同士をクランプでしっかり固定して締め付けることで隙間なく締結できます。また、キリやドリルなどで下穴をあけることでも解消できます。
全体にねじ切ってあることで縦方向の力は半ねじに比べて強くなり、万が一ねじの頭が飛んでしまった場合でもある程度の保持力を維持し続けることができます。
半ねじ
ビスの上部にねじが無く、主に下側の木材に対してのみねじが効くので、下図右のように上下の材料に対して隙間ができません。その為、施工しやすいという利点がありますが、万が一ねじの頭が飛んでしまうと保持力が失われます。
全ねじと半ねじのおすすめの使い方は、半ねじを使って木材の間に隙間が出ないように固定した後に、全ねじで固定する方法です。こうすることで隙間が発生せず、強い締付けをすることができます。
先端形状
造作ビスの種類の違いの中で、先端形状の違いも大きな特徴になります。代表的な形状は以下の通りです。
尖り先
先端が尖り形状になっておりカットなどは入っていません。木材の種類によっては下穴がないと打込めないこともあります。
先端カット
尖り先の先端にねじ溝が加工されています。溝の部分で木材を削りながらねじ込んでいくので、下穴なしでも施工ができます。
その他
上記以外にも細い木や硬い木でも割れにくい形状、薄い鉄板なら貫通できる形状、高トルクの電動工具にも対応できる形状など、各メーカー様による多種多様な先端形状が存在します。
長さ
造作ビスには商品ごとに様々な長さがラインナップされています。実際に商品を購入する際、何を基準に長さを選べばいいのでしょうか?以下の3点を意識して購入品を選定してみてください。
①貫通しないこと
②取り付ける木材の厚みの2~3倍
③ ②が難しい場合には、取り付ける木材の厚み+20㎜以上
耐食性とコストの両方を解決するおすすめ製品
一般的に造作ビスで耐食性を気にする場合、鉄製ではなくステンレス製のものが使われます。しかし、造作ビスは数量を多く使うことが多いため、ステンレス製ではコストがかかりすぎてしまうという課題もありました。
そこで、八幡ねじでは鉄に特殊な表面処理を施し、ステンレス(SUS410)より錆びにくい「ゼロステンシリーズ」を取り扱っております。造作ビスではコーススレッド・スリムねじなどをラインナップしており、今回は紹介していませんがドリルねじも取扱いしております。詳細は製品ページをご確認ください。
適切なねじ選びのご相談・ご注文も承ります。
今回ご紹介したのは基本となる製品のみですが、造作ビスはそれぞれの用途に合わせて特徴の異なる多種多様な商品が存在します。その為、慣れるまではどの製品を選べばいいのか悩んでしまうほどです。適切なねじ選びで困った際には、是非八幡ねじにお任せください。弊社には日本DIY・HC協会が認定する資格“DIYアドバイザー”が10名以上在籍しており、お客様のご要望を伺いながら最適なねじ選びをサポートします。お気軽にお問い合わせください。