鋼板をねじで締結する場合、通常、①下穴をあける②タップを立てる(めねじ加工)③締結をする という工程が必要になります。タッピンねじは②タップを立てる ことはできますが①下穴をあける ことはできませんので、事前にドリルで下穴をあけておく必要があります。タッピンねじに関しての記事もありますので、よろしければ御覧ください。
それに対して、ドリルねじは先端にドリルが付いており、①下穴をあける ことが可能なので、ねじ1本で締結まで完結できる、多機能なねじです。
ドリルねじは鋼板どうしを締結したり、鋼板に木材を締結する場合に使用されます。
主な用途
鋼板に対して、鉄板、鋼板、サイディングボード、木、木質ボードなどを固定するときに使います。また、Cチャンネルにスイッチ等の設備を取り付ける際など、補修や工事にも用いられます。
ねじ部形状
ドリルねじのネジ部のピッチは、そのほとんどがBタッピン(2種)と同じになっています。タッピンねじは、下穴さえあれば自身でタップ立て(めねじ加工)を行うことができるねじですが、ドリルねじは下穴加工まで含めてねじ1本で行うことができるので、より多機能なねじとなります。
先端形状
ドリルねじは、取付物の厚みによって先端ドリル部分の形状が異なります。先端のドリル部分のことをフルートと呼び、締結する板厚が厚いほどフルート部分は長くなります。
薄板用
適応板厚:1-1.2mm
薄板に対して締結するための先端形状です。ねじ部のピッチはBタッピン(2種)と同様です。
標準板厚用
適応板厚:2.3-4.5mm
最も多く流通しているのがこのタイプです。ねじのピッチはBタッピン(2種)と同様です。
厚板用
適応板厚:6-13mm
フルート部分が長くなっています。また、対象とする板厚が厚いので、ねじ込みやすくするために細目のねじピッチを使う傾向があります。
頭部形状
六角頭
トルクの伝達力が大きいため、太いねじに使用される傾向があります。
また、十字穴ではねじ穴潰れやカムアウトが起きますが、六角頭ではそのような現象は起きません。
なべ頭
最も一般的に流通しているドリルねじの形状です。リセスは十字穴、トルクス、スクエアなど様々です。
さら頭
取付物に皿取り加工をして、頭部分を沈めることで、面一(ツライチ)になります。
安全や設計上、表面の凹凸を無くしたい場合や美観が必要な場合に使用されます。
さら小頭
頭径が小さく、狭い箇所でも打ち込むことができます。
フラットヘッド
ねじ頭が薄く、表面の凹凸を抑えることができます。
シンワッシャー
ねじ頭部がワッシャーのように広がっています。着座面積が広いため、取付部材への食い込みを防ぎながらもしっかりと抑えつけることができます。また、ねじ頭部の高さが低いため、凹凸を抑えることができます。
適応板厚とジャッキ現象
適応板厚
最大適応板厚は、ドリル部分の長さによって決まります。ここで注意したいのは、ドリル部分の長さとは、先端のテーパーになっている部分を除いた長さだということです。
締結する際、締結する部分の厚みが、ドリルの長さを超えないようにしなければなりません。
ジャッキ現象
下地の鋼板を穿孔中に、取付物にねじがかかってしまうと、ねじの回転によって取付物が持ち上げられてしまいます。この状態になってしまうと、取付物が浮き上がり、隙間が生まれてしまうだけでなく、取付物の破壊につながってしまうこともあります。
特殊な商品
用途によって以下のような商品を使用する場面もあります。
リーマ
鋼板に対して、木やサイディングボードを取り付ける際に使用します。
下地の鋼板を穿孔中に、取付物に対してねじがかかってしまいジャッキ現象が起きるのを防ぎます。先端のリーマ(ヒレ)によって取付物にバカ穴をあけますが、鋼板に接触した瞬間にリーマが取れるので、下地鋼板に対してはねじが効くので、鋼板と取付物を締結できます。
パイロット
木や断熱用のボードを鋼板で挟み込み締結する場合、ドリルが最下部の下地鋼板を貫通する前に、他の部材にねじがかかり始めてしまいます。この時にジャッキ現象や、部材の破壊を防ぐために、ねじがかからないパイロット部が必要です。
スリッパー
ドリルねじを打ち込むときはインパクトドライバーなど電動工具を使用するのが一般的ですが、過剰なトルクは頭飛びやねじ穴潰れの原因になります。そのような問題を防ぐため、特殊なリセスの形状で、過剰にトルクがかかった瞬間ビットが抜けるように設計された製品です。
おすすめ商品
厚板用ドリルねじ
H鋼などの鋼材に対して締結する場合、12mm程度の鋼板を貫通する必要があります。
厚板用のドリルねじは、穿孔する距離が長いため、施工時間が先端ドリル形状のクオリティに大きく依存します。板厚が厚い場合、より品質のいいドリルねじを使いましょう。
下穴なしで一発施工。12mmまで貫通。
「厚板用ドリルねじ」は鋼板であれば12mmまでに使用できます。また、SUS410の厚板用ドリルねじの場合、ステンレス板5mmまでに使用できます。独自の先端ドリル刃先で、安定した穿孔をします。
四角、十字ビット兼用のマルチプレックス
打ち込み時は四角ビットを使用しますが、取り外し時には十字ビット2番を使用できます。
四角ビットで打ち込むことで、十字穴によるカムアウト現象を解消でき、解体時には通常の十字ビットで取り外しができるので、スムーズな作業ができます。
また、コチラの商品は「YAHATA PRO(ヤハタプロ)」シリーズの商品で、通常のねじよりもワンランク上のクオリティを目指し開発された商品です。専用サイトがございますので是非チェックしてみてください。