ものづくりのさまざまな場面で当たり前に使用されているねじですが、その製造方法はあまり広くは知られていません。今回はねじの中でも代表的な、ボルト・小ねじ・ナットについて、その製造方法をご紹介いたします。
ボルト・小ねじの製造
ボルト・小ねじは一般的に金属材料に力を加えて変形させる方法で作られています。これは塑性加工といい、圧造、転造などが含まれます。大まかな製造工程は下図の通りです。
材料
材料となる金属は、一般的にコイル状にまかれた線材の状態からスタートします。この線材は伸線された後、ブランク成形の工程に進みます。
尚、材料は伸線したものを材料メーカから購入するのが一般的ですが、ねじメーカで伸線するケースもあります。
ブランク成形
ブランクとはねじ部分を成形する前の状態の製品のことです。ねじの製造ではまずこのブランクを製造した後に、ねじ部を成形することが一般的です。
ボルト・小ねじのブランクは、機械の中でカットされた材料に金型を用いて力を加え、変形させることで作られます。これを冷間圧造といいます。
六角ボルトの場合は、ブランク成形をした後にトリーマーで頭を六角形にトリミングします。
ねじ部成形
ねじ山が切られた型を転造ダイスといいます。この転造ダイスに、成形したブランク(②の工程で製造したもの)を押し当てながら転がすことで、ねじ山を成形していきます。これを転造と言います。転造ダイスには主に3つの種類があり、それぞれに特徴があります。
◀平ダイス式
生産性:中
設備費:低
精度:中
◀丸ダイス式
生産性:低
設備費:高
精度:高
◀ロータリー式(プラネタリ式)
生産性:高
設備費:高
精度:中
これまで紹介した製造方法以外に、ボルトは材料を削る切削加工によって製造されることもあります。切削加工の場合ブランクを切削し、ねじ部を転造する方法の他に、ブランク成形とねじ部成形を分けることなく1つの機械で加工することも可能です。
ナットの製造
ボルトの製造と同じように、ナットの成形に関しても、圧造、又は切削加工のいずれかで製造されるのが一般的です。両方の方法で製造されることがあります。今回はその中でも圧造のナットについてご紹介いたします。大まかな製造工程は下図の通りです。
材料
六角ナットの場合、材料となる金属は、一般的にコイル状に巻かれた線材(丸形状や六角形状)からスタートします。これを直線状に矯正させながら機械に投入していきます。
ブランク成形
まず、材料の棒を必要な量に切断します。その後、鍛造によって外側の形、下穴(中心の穴)の順に成形されていきます。この時点での下穴は、まだねじが切られていない状態になっています。
ねじ部成形
ナットのねじ切りはほとんどが切削タップで行われ、まれに転造タップで行われることもあります。ねじ切りは一般的にタッピングマシンと呼ばれる機械が使用されます。機械内のベントタップが回転し、そこをブランクが通ることでねじが切られていきます。
製造方法を指定した、製品のご相談・ご注文も承ります。
これまでご紹介したように、同じ製品でも製造方法は異なり、厳密には製造方法によってその製品が持つ機械的性質も異なります。製造方法製造方法を指定した製品のご相談やご注文は、是非八幡ねじにお任せください。まずはお気軽にお問い合わせください。