ねじは、産業の基礎素材として、私たちの社会を根底で支えています。八幡ねじが取り扱う多品種の製品は、およそ40万アイテムにのぼります。ねじを使用されるお客様は、自動車、電機、機械、建築、そして全国のホームセンターの小売店など、多岐にわたります。大手メーカーから、一般ユーザーまで幅広く、ねじを供給しています。八幡ねじは、創業70年の歴史をとおして「お客様に、良い品質の製品を確実にお届けする」をコンセプトに挑戦してきました。多品種の製品は、国内・海外の自社工場に加え、国内外およそ800社を超える協力工場で製造しています。八幡ねじは、徹底した効率化『製造技術の向上』『グローバルな品質管理体制』『ITやメカトロを活用した、高度な物流体制』を構築しています。これを総称して『整流化』と提唱し進化させてきました。八幡ねじは、企業理念である『三方善の心』で、お取引先様、そして社会の発展に貢献できる企業として「お客様に安心をお届けする」ことを企業使命にしております。
八幡ねじは『整流化』を進化させる、挑戦の歴史です。
QUALITY
『整流化』 製造と物流の品質管理
独自のIT技術を活用した品質管理。
八幡ねじが考える品質とは『製品の品質』と『物流の品質』です。お客様にとって、品質の良い製品はもちろんのこと、ねじが1本不足するだけでも、モノづくりは行えません。確かな製品が、必要な時に、必要な量を、最適な荷姿で供給する、出荷品質も大切な指標です。その高度な製品供給体制を、ローコストで実現するために、独自のITとメカトロ技術を開発し駆使して、徹底的な合理化を推進してきました。日々その精度を高めています。
八幡ねじが目指してきたのは「QCDA※1」、すなわち「高品質な製品」「生産と流通の低価格の実現」「確実な即日納品」「高度な製品の分類仕分」です。その一つの姿が、コンピュータとメカトロを組み合わせた自社開発の全社統合生産システム、ヤハタ・フローシステムです。またあわせて、自社開発の受発注システム「YES」を構築することにより、お客様の求めるものが、求める時に迅速に手に入る、理想の流通環境を作り上げています。
現在では取り扱い製品15万種類の入庫、管理、発送までを全て、上記のシステムで管理することにより、先述の「QCDA」である、①誤品出荷の防止、②人的作業削減により低コストでの製品提供、③即日出荷と高い納品率、④1本からパレット単位まで、お客様に合わせた納品形態の実現、を可能にしています。八幡ねじの高度な物流システムは、日々進化しています。
※1 Quality,Cost,Delivery,Assortment
常に進化を続ける、独自のシステム開発。 — 中小企業IT経営力大賞『経済産業大臣賞』受賞 —
1979年・コンピュータ化開始以来、1982年・お客様とのオンラインシステムを稼働。1983年・リアルタイム処理をめざした第2次システムの稼働、1987年・第3次統合システムの稼働、2001年・知的コンピュータシステム『YaCS-EDI』の開発を始め、2007年・全社統合システム『YaCS-EDI』本格稼動。そして2018年・自社開発の受発注システム『YES』が稼働を開始しました。コンピュータ化の開始から現在に至るまで、当社では使いやすいシステムを目指し自社開発してきました。数々の失敗を繰り返しながらも、その課題を乗り越えてきました。このノウハウの積み重ねが、八幡ねじの進化につながっています。2008年・八幡ねじのIT化への取り組みが高く評価され、経済産業省主催、第一回中小企業IT経営力大賞『経済産業大臣賞』を受賞しました。
『想客人』思想にもとづく、品質管理体制の高度化。
八幡ねじは、お客様志向を『想客人』という言葉で表現しています。お客様の求める製品供給とお応えできる仕事をすること。そのために品質優位体制づくりとして、社内に品質検査機能を設置し、検査機器の充実と強化に日々取り組んでいます。検査試験室の増設、最新鋭の検査機器を導入し、品質検査の大幅なレベルアップを可能にしました。また、協力工場に対しては、技術指導や大型生産設備、加工設備導入などで積極的な支援を行い、自社開発技術の幅を広げ、ユーザーニーズに柔軟に対応できる体制づくりを進めています。
徹底した無駄の排除や環境問題への高い意識が、2000年・中部圏の企業では初の受賞となった『VM推進賞』受賞。また、2001年・『環境マネジメントシステムISO14001』『品質管理システムISO9001』の同時認証取得につながりました。高度な納品率など、目に見える成果が上がっています。タイ、中国、インドネシアに展開している海外自社工場においては『ISO14001』『ISO9001』とともに『IATF16949』を取得しています。
INNOVATION
絶え間なく続く革新
八幡ねじは、社是である「三方善の心で新技術・新分野を拓く」を、1946年の創業以来社是にしています。お得意先・お取引先、社会と当社が共に幸せになり、安定した循環をつくること。そして『想客人』の思想をもとに、現在と将来の時代を見据え、最終ユーザーが何を求めているのか、お客様の求める製品を提供できているのかを常に振り返り検証し、業務の効率化・合理化への革新に取り組んでいます。
ホームセンターDIY事業、時代の先を見据えた製品提供。
ホームセンターのDIYコーナーでよく見掛けるねじ。日本で初めて、最終ユーザーが必要とする分量を、形状とサイズ別に分類し、パッケージ化して売り出したのが、八幡ねじです。1975年・事業化を開始した当時は、単価の安いねじは大量販売が基本で、袋詰めにして小分け販売することは、コストの面でも常識では考えられないことでした。しかし、ホームセンターが一般化していたアメリカの小売店にヒントを得て、膨大な多品種小ロットのねじをパッケージ化する事業に取り組みました。
ねじをパッケージ化することは、さまざまな形状とサイズ別に間違いなく分類する、多品種少ロットの生産供給体制が必要になります。ねじは店舗での販売回転も早く、生産管理、品質検査、パッケージ化による分類仕分け、在庫、出荷、納品まで、その作業量は膨大なものとなります。その安心できる品質、価格、納期を実現し、お客様の信頼を得るために、高度な管理による生産体制、流通システムの構築が必要でした。1980年代から研究開発を進め、コンピュータによる商品管理をリアルタイムでこなし、ITとメカトロを融合させた自社開発、物流システム『ヤハタ・フローシステム』を実現しました。1995年・『ヤハタ・フローシステム』の確実な運用により、八幡ねじはホームセンターの大きな支持をいただき、業界でトップシェアを獲得しました。また、数々のカイゼン、商品の改良開発を重ね、徹底した無駄の排除により、納品率100パーセントを達成しています。
八幡ねじのデザインマネージメントが、多数のデザイン賞を受賞。
「良い製品を良いデザインでお届けする」という考えのもとに、八幡ねじの信頼をあらわすブランドづくり、1996年・デザインマネージメントに取り組みました。多品種のねじは品質にこだわっても、同じような製品に見えます。お客様に分かりやすく、探しやすいパッケージデザインの実現、製品の信頼をあらわす企業デザイン活動に取り組みました。企業CI、パッケージ、ディスプレイ、カタログ、ホームページ、建設物など、八幡ねじの企業理念と運用システムに則したデザイン体系を実現していきました。この試みは業界内外で反響を呼びました。各種の展示会をとおして、ねじの世界を魅力ある製品として社会にアピールし、規格化された工業製品に新しい価値を与えたと高く評価されました。2002年・グッドデザイン賞日本商工会議所会頭賞、2004年・第一回デザイン・エクセレント・カンパニー賞など、さまざまな分野のデザイン賞を受賞しました。お客様に安心と信頼をお届けする『八幡ねじブランド』への努力は続いています。
自社開発「自動化技術」の革新。
八幡ねじは、1995年・ITとメカトロを融合させた物流システム『ヤハタ・フローシステム』を完成し、さらに、2018年・メーカー向けの新物流システム『ヤハタ・フレックスシステム』を本格稼働しています。製造の分野では、現在、日本国内は人手不足が深刻化していますが、八幡ねじでは、1990年代から自動化技術への取組みを行ってきました。2000年・低コスト生産を実現するために、ねじのパッケージ生産を自社のタイ工場へ移管しました。その後、国内の自動化技術の確立により、コスト改善が達成できたことで、国内製造に切り替えました。海外においても、人件費の上昇傾向は続いています。八幡ねじの海外工場でも、自動化技術を積極的に取り入れ、安定的な製品供給と、お客様に納得して頂ける価格のご提供を目指しています。
「製品・技術開発」「新商品企画」の革新。
企業の発展には「製品の企画・開発」が不可欠です。八幡ねじでは大学との共同研究により、ねじの新しい製品技術開発に取り組んでいます。近年の代表的な製品として『くさびロックボルト』新しいゆるみ止めボルトを共同開発しました。今後も、もの創りの基礎技術研究をとおして、社会の役に立てる新たな製品開発を進めていきます。
また、ホームセンターの最終ユーザー向けの商品企画にも力をいれています。ねじ以外に、生活に役立つ『防災』『収納』『園芸』商品など、多くの方に使って頂けるDIY啓蒙商品の開発など、積極的に行っています。
「情報化時代のサービス」の革新。
人工知能-AIを導入する新たな受発注業務システムを大学と共同で開発しています。現在、八幡ねじでは、大手メーカー、全国のホームセンターなどのお客様に、日当たりおよそ10万データ分の製品を出荷しています。この精度をさらに高めていくには、人工知能-AI導入は不可欠です。『ヤハタ・フローシステム』『ヤハタ・フレックスシステム』と組み合わせることにより、より細分化し安定した高度な物流が可能になります。人的作業を可能なまで減らし、労働人口の減少に対応すること、創造的な仕事に携わる人員を増やしていくことも目的の一つです。小売店舗においては、ねじを探しやすくするサイン表示やパッケージデザイン、商品検索エンジン『ねじクイック』の開発にも取り組んでいます。これからも『想客人』の思想で、お客様が求める製品情報が瞬時に検索できるシステム等、ご満足頂けるサービスの開発を進めていきます。
GLOBAL
『整流化』 世界最適生産の実現に向けて
グローバル展開するお客様の現調化ニーズに応える。
八幡ねじは、世界最適生産を目指して海外事業へ展開を行ってきました。2000年・タイ、バンコクに製造・販売の2つの現地法人を設立。2003年・海外2番目の製造工場を中国、上海市郊外に開設。また、2011年・インドネシア、ジャカルタに製造工場、2013年・台湾、高雄に製造拠点を開設しました。これにより日本、タイ、中国、インドネシア、台湾の5製造拠点体制を確立し、顧客のニーズに対して、より一層スピーディに、また低コストで応えられる生産供給体制が完成しました。今後も成長が続く海外市場においては、多くの日本企業が進出しています。海外進出する日本のモノづくりに対し、高い品質の製品を供給することが私たちの使命であり、そのために今後も積極的な展開を目指していきます。
お客様の高い品質基準にお応えできる国際調達システム。
八幡ねじは、1987年・海外輸入業務を担当する海外事業部を立ち上げ、中国、韓国、台湾、ベトナム等の東アジアを中心とした独自の輸入ルートの開拓に取り組んできました。お客様の高い品質基準にお応えできる国際調達システムを構築し、海外生産の現場で開発から製造の全てのステージに八幡ねじが関与し、ローコストと高品質を保証した製品の販売を可能にしました。その後、時代の変化にあわせて組織再編を繰り返し、2018年・株式会社ヤハタ・トレーディングとして海外貿易部門を分社化しました。海外からの輸入業務に加え、中国、韓国等、海外へ高品質な日本製品の輸出販売にも積極的に取り組んでいます。
優れたものづくり企業として『愛知ブランド』に認定。
ヤハタファスナー・タイ(タイ工場)、PTヤハタファスナー・インドネシア(インドネシア工場)、上海八幡五金有限公司(中国工場)では『IATF16949』を取得しています。製造技術の高さを認められ、自動車関連部品の製造も行っています。八幡ねじグループの海外工場は、お客様に日本品質として安心して頂ける生産体制を確立しています。八幡ねじは、2012年・優れたものづくり企業として『愛知ブランド』として認定を受けました。