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ねじの締結について

POINT

・軸力はねじ締結の要となる力

・ねじにトルクをかけて軸力を発生させる

・不適切な軸力はゆるみや破断につながる


ねじを回転させると、締まったりゆるんだりします。ここではその仕組みについて説明します。
締結の基礎

【 3つの力 】

ねじは着座※1した後、さらに締め付けをすることで大きな力を生み出します。これをねじの締結といいます。ねじの締結には3つの力が関係しています。
[ 軸 力 ] … 引っ張られて伸びたねじが元に戻ろうとする力。
[ 締結力 ] … 被締結物※2を固定する力
[ 外 力 ] … 被締結物を外そうとする力
これら3つの力の望ましい関係は、『軸力=締結力>外力』となります。特に軸力は締結の要となる力で、この軸力に異常が発生するとねじのゆるみにつながってしまいます。

ねじを締め付けると軸力が働き、ねじは伸びます。加えた力とねじの伸びが比例し、力を取り除けば元に戻る範囲を弾性域といいます。この弾性域を超えた力が加わると、力を取り除いても元に戻らなくなる、塑性域となります。ここからさらに力を加えていくと、いずれねじは力に耐えきれなくなり、破断します。弾性域内での締め付けを弾性域締付け、塑性域内での締め付けを塑性域締付けといいます。基本的には弾性域で締付けを行います。
※1 着座…ねじの座面(頭部の下の面)が被締結材に到達して接触している状態。 ねじの締め付けに関して、着座するまでは力を必要としないが、着座してからは力が必要となる。 ※2 被締結物…ねじによって締結、固定されるもののこと。

【 トルクとは 】

トルクとは、ねじを回転方向に回す力のことをいいます。トルクは『加える力』×『ねじの回転中心から力をかける点までの距離』で求めることができます。このトルクが適正でないと、ゆるみや締めすぎとなってしまい、最終的に破断してしまうこともあります。

【 トルクと軸力の関係 】

ねじにトルクをかけて締め付けると軸力が発生します。しかし、トルクが全て軸力に変化するというわけではありません。トルクのほとんどは軸力ではなく、摩擦力に変化してしまうからです。また、どれだけのトルクが摩擦力に変化するのかも一定ではないので、トルクを管理すれば、軸力が管理できるということではありません。そのため、軸力を完璧にコントロールすることは困難です。

【 締め付け管理の方法 】

軸力を可視化してコントロールすることは難しいため、別の方法で締め付けを管理する場合がほとんどです。主に以下のような方法で管理します。
[ トルク法 ] … トルク法…ねじを回す力であるトルクを測りながら締め付ける最も一般的な方法です。トルクの値のみを見て締め付けるので、作業性が良いという特徴があります。ねじと締結物の摩擦が一定ではないため、軸力がばらついてしまうという欠点があります。
[ 回転角法 ] … ねじが着座してからの回転角度を利用して締付ける方法です。角度のみで締め付けを管理できます。軸力を与えすぎて、ねじが永久に伸びてしまうことがあるので注意が必要です。
これらの他にも、締め付け角度に対してどれだけトルクが上昇したかの割合の変化を利用して締め付けるトルクこう配法などの管理方法もあります。設計者は軸力基準で考えてねじを設計しますが、現場は締め付けの管理でしか対応できないことが多いです。そのため、上記の方法で締め付けを管理しても、設計時に算出した軸力と現場で施工した際の実際の軸力に誤差ができてしまう場合もあります。